夢のとらえ方

私は有香の言葉がとても好きです。
言葉というより、感性と表現した方が良いかもしれません。
『そんな風に見えるんだ!そんなことを考えているんだ!』
と、驚いたり感心したりしています。

しかし、最近、『有香も大人になれば、今のような人ではなくなるのだろう。いつ頃まで、独特の感性で楽しませてくれるんだろう?』
と、考えるようになっていました。

が…、日曜日、とても良いことを教えて頂き、現在の有香の感性は自然に消えるものではなく、私(周囲の人)の接し方により、失わせるものであると認識しました。

ダウン症は個性と言う人もありますが、現在の私は、『個性』だけではすまされない『違い』があると考えています。その『違い』を認めたうえで、娘の生活をより豊かにすべく、接し方にも工夫をしたいと考えています。

さて、教えて頂いた内容は『夢』のとらえ方の違いです。
一般的に私たちが夢を持てば、それを叶えるためにどうすれば良いのかを考えると思います。
でも、有香が夢を語った場合、実現させる方法を考える必要は一切なく、『夢は夢だからきらめく』と受け止め、実現させるためではなく、きらめかせるための応答が大切なのだそうです。(成人期の話ではありません、中学生の有香に対しての話です)

例えば、有香は「大きくなったら歯医者さんになりたい」と言います。
良い答え方の例
保護者「どうして歯医者さんになりたいの?」
子供 「虫歯を治してあげたいの」
保護者「どんな虫歯かな~?」

悪い答え方の例
保護者「難しい勉強をしないと歯医者さんにはなれないよ」

確かに、夢の話を楽しく語れば、想像力が膨らみ、楽しい発想がわくでしょう。現実的な話をして、夢を打ち砕く必要はありません。
ある面生真面目な私は、言葉がけに十分注意をしなければと思いました。

 

≪中1・6月24日≫
…夜、テレビでオリンピックに向けての映像が流れていました。
有香「私は首(頚椎)が治ったら、オリンピックに出る」
母親「何で出るの」
有香「鉄棒とか棒が二本あってこうやる(ジェスチャー)やつ」
母親「あ~、平行棒ね。じゃあ、首が治ったら頑張ろうね。ロンドンオリンピックには間に合わないから、次のオリンピックかな」
父親「次のオリンピックはリオデジャネイロやで」

 

日曜日にアドバイスを受けていなければ
「オリンピックにはなかなか出れません」
「鉄棒も平行棒も男性の種目です」
などと、生真面目に答えていたかもしれません。

今回のアドバイスを忘れることなく心に刻み、娘にはいつまでもきらめく夢を語ってもらいたいと願います。